非ベンゾジアゼピン系薬とは?
前回ベンゾジアゼピンについて解説したので、今回は非ベンゾジアゼピン系薬について簡単に解説します。「ベンゾジアゼピンの作用機序」という前回の記事を読んで頂ければスムーズに理解できると思います。
まず、非ベンゾジアゼピン系薬の代表的なものは、マイスリー、アモバン、ルネスタです。苦いものが多い…、
特にマイスリーは、不眠症で病院に行ったことがある人なら1度は飲んだことあるのではないでしょうか。マイスリーは苦くなくてよかったですね
ではベンゾジアゼピン(BZD)系薬と非ベンゾジアゼピン系薬はどう違うのでしょうか。
「非」という名前からわかるように、非BZD薬はBZDではありません。ベンゾジアゼピン骨格という構造を持たない、つまり全くの別物にも関わらず、BZDと同じ抑制作用を促す薬こそ、非ベンゾジアゼピンに分類される薬です。
しかしBZDがあるにも関わらず、なぜ非BZDが開発されたのでしょうか。それはBZDが引き起こす副作用に起因します。
BZDはGABA(A)受容体のBZD受容体と結合することでその効果を示しますが、BZD受容体にはいくつかのサブタイプに分けられます。そして、どのタイプの受容体に結合するかで鎮静、認知、記憶、運動機能など作用する効果が変わります。
BZDは基本的にこのサブタイプを区別しないため、健忘や運動失調など様々な副作用が引き起こされます。
例えば、ただ睡眠を改善したいだけで薬を飲んでいるのに、副作用で記憶をなくしてしまうなど、非常に恐ろしいことですよね。実際にあることなんです。
そこで副作用を抑えようと、BZD薬に代わるものの開発が勧められました。そうしてできたのが、非BZD系薬です。
非ベンゾジアゼピン系薬も、GABA(A)受容体のベンゾジアゼピン受容体に結合し、サブタイプに作用するのですが、BZDと異なり選択的に作用します。
つまりどういうことかというと、主に鎮静効果をもつ受容体のサブタイプのみに作用するよう作られ、副作用を選択的に出現しないよう改良されたものが非BZD系薬なのです。
鎮静効果のみが上手く作用し、副作用の出現を抑え、主に睡眠により有効になるよう作り変えられた薬が非ベンゾジアゼピン系薬なのですね。
以上になりますが、もちろん過剰摂取は副作用を強く引き起こすので注意です。
それでは快適な睡眠を。